伊豆での最適な時期はいつ?ダイビングを通じて季節の違いを感じてみませんか
こんにちは、季節を問わず伊豆ダイビングスポットに通い続けている淳です。
- 夏だけのレジャーにライセンス費用を支払うのはもったいないな
- ダイビングは本当にどんな季節でも楽しめるのかな
- 秋とか冬に海に入って寒くないのかな
ダイビングって夏しか楽しめない趣味というイメージを持たれている方が多いです。それだと、ダイビングを始めるための費用は約6万円かかり、夏だけのレジャーと思うとためらいが出てしまいます。また、秋とか冬にダイビングに行けると聞いても寒くて楽しさ半減しないか本当に平気なのか心配だなと思ってしまいますよね。
私は、伊豆のダイビングポイントを中心に約10年間のダイビングを経験してきました。8年もの間ファンダイビングを経験した後、NAUIダイブマスターを取得した現役ダイバーです。
そこでこの記事では、伊豆半島のダイビングスポットで1年中ダイビングが楽しめる理由を解説します。伊豆ダイビングスポットには季節で異なる魅力を持つ面白さがあります。
この記事を読めば、季節ごとの海の特徴と天候、ウェットスーツなど寒さ対策がわかります。確かに冬と春の海水は冷たく気温も寒いですが、スーツやグッツで防寒対策をすれば十分に楽しむことが出来ます。
伊豆半島のダイビングスポットで四季を感じながらダイビングを楽しみたいと思う方は、ぜひ最後まで読んでください。
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四季による伊豆のダイビングスポットの特徴
- 春:3月から5月までの期間
- 夏:6月から8月までの期間
- 秋:9月から11月までの期間
- 冬:12月から2月までの期間
気象庁の季節を表す用語では1年をこのように区分しているので、この記事でもそれに倣い解説していきます。
春の海
水温(℃) | 東伊豆(℃) | 西伊豆(℃) | |
---|---|---|---|
3月 | 16 | 11.9 | 12 |
4月 | 17 | 15.3 | 16 |
5月 | 18 | 18.4 | 18.5 |
- 気温も水温もまだ上がり始めたばかりで防寒対策が必須
- 春にごりにより水中の透明度が下がる。
- マクロ系の生物観察が多くなる。
気温は徐々に上昇し、春の訪れを感じるぽかぽかした日々が多くなってきます。しかし、水温はまだ17℃前後と低く上昇を始めたばかりです。気温よりも水温の方が高く、気温にダイビングで冷えた体を温めるほどの暖かさはないです。そのため、春にダイビングをするには、陸上も水中も防寒対策が必須な季節です。
春の水中は、水温が上がり始め「春にごり」が発生する時期になります。春にごりとは海水温が上がり海の栄養分が増え、プランクトンなどが増加することにより海水が緑色や茶色になり視界が非常に悪くなる現象です。酷いときは、透明度が2~3mにまで落ち込む場合があります。
ダイバーには視界が悪く不快に感じることの多い現象ですが、海の生き物には大切な栄養分です。安全に配慮して、水底や岩や根に視線を落としてマクロ系の生物観察を楽しむことに集中する季節です。
春によく見られるダンゴウオの幼魚や様々なウミウシなどのマクロ系生物の生物観察が目的のダイバーが多くなる季節です。
夏の海
海水温(℃) | 東伊豆(℃) | 西伊豆(℃) | |
---|---|---|---|
6月 | 21 | 22.3 | 22.5 |
7月 | 23 | 25.8 | 26.3 |
8月 | 26 | 26.8 | 27.2 |
- 春にごりは落ち着き始めるが長雨などで透明度が上がりにくい
- 卵や幼魚が増えて、ホンダワラなどが生い茂る
- 気温も夏日で暑い日が多く水温も高くなる
- 陸上は暑さ対策が必要になる
- 透明度は徐々に回復してくる
- ダイビングスポットが混みあう
梅雨のころになると水温も20℃を超え、真夏の8月には26℃まで上昇してきます。気温は暑い日が多く、夏日や猛暑日が続きます。水温と気温が上昇してダイビングに適した環境になってきます。気温が高すぎるとダイビング器材の準備をする際やウエットスーツを着て陸上にいる際などに熱中症になる可能性があり、暑さ対策に気を配る必要のある季節です。
夏の水中は、透明度が少しづつ回復してくるものの、まだすっきりしない日が多いです。梅雨時期には、「春にごり」の現象は落ち着きを見せますが、長雨や春台風で透明度が悪化する日が多くなります。でも、太平洋を流れる黒潮が伊豆半島に近づくと、透明度は大幅に改善する期間があります。
海のレジャー全般のハイシーズンで、海辺には海水浴客が増えダイビングショップも賑わう時期です。有名なダイビングスポットには、年間を通じて最も多くのダイバーが訪れる季節です。ただ、ダイビングをする人が集中することで、海底の砂や堆積物が巻き上げられてしまい、「人にごり」で透明度の悪化が起こりやすくなります。
アオリイカの産卵やクマノミの卵、イシモチの口内保育、ベラやコブダイの幼魚などが見られる季節です。
秋の海
海水温(℃) | 東伊豆(℃) | 西伊豆(℃) | |
---|---|---|---|
9月 | 24 | 24.4 | 25 |
10月 | 23 | 18.5 | 18 |
11月 | 21 | 16.1 | 15.4 |
- 気温も日中暖かい日が多く水温も高く維持されて快適な日が多い
- 透明度は冬に向けて徐々に良くなる傾向がある
- 季節来遊漁が増える
水温は23℃前後でまだ暖かく、気温の低下に比べると変化は緩やかです。気温は、9月は残暑でまだ暑いですが、11月になると晴れた日以外では気温の低い日も増えてきます。水温は依然として高いレベルを保ち、気温は猛暑日や夏日がなくなるので、水中も陸上もダイビングが快適にできる気候です。
夏が過ぎ海水浴に訪れる方が減り始めると海辺は落ち着きを取り戻し、周辺の交通事情やダイビングスポットなど様々な混雑が緩和されます。ダイビングを楽しむ方にとっては最適な季節であり、「人にごり」による透明度低下も減り冬に向けて透明度も良くなり始める季節でもあります。
伊豆の海では珍しい本来は南方に住む季節来遊魚が見られる嬉しい季節です。季節来遊魚とは、台風のうねりや黒潮に乗って運ばれる形でもたらされた元々その地域に生息していない南方の海の生物のことです。南の海にいるイメージがあるチョウチョウウオやキンチャクダイ、クマノミなども伊豆で見れます。
冬の海
海水温(℃) | 東伊豆(℃) | 西伊豆(℃) | |
---|---|---|---|
12月 | 18 | 9.2 | 9.2 |
1月 | 17 | 6.6 | 6.2 |
2月 | 16 | 6.5 | 6.7 |
- 気温が1桁になり水温の方が高くなる
- 透明度はどんどん良くなり澄み切った状態になる
水温が年間で1番低くなる時期で、2月には16℃まで下がります。身近なもので例えると銭湯の水風呂と同じぐらいの冷たさです。日中の気温も低くなり最低気温は0℃付近のこともあるので厳しい寒さを感じます。
水中は水温が下がることでプランクトンが減り、透明度がすごく良く澄み切った状態になります。また、伊豆半島のある太平洋側は乾燥した晴天が多くなり、雨水による川からの流入が減るという条件も重なり透明度が高くなりやすいです。この時期は、防寒対策されたダイビング器材を持つ熱心な人だけになり、ダイビングスポットも空いています。
プランクトンが減ることで透明度が上がりますが、これは同時に栄養分が減ることでもあり、生き物の数は少なくなる季節です。でも、透明度が良いので水中地形を楽しめるため、ワイドな視点を好む人に適した季節です。近年は海水温の上昇で季節来遊魚が越冬することも多く、冬の時期でも見れる生き物が増えています。また、各ダイビングスポットで行われる水中クリスマスツリーも年末の恒例イベントとなっています。
風向きによるコンディションの違い
伊豆半島は広くてダイビングポイントも両海岸にあり、東伊豆と西伊豆では風の影響が異なります。エントリー・エグジットの場所に、直接風が吹き付けると海のコンディションが悪くなるからです。一般的な傾向では、西伊豆のダイビングスポットは西風に弱く、東伊豆は東風に弱いことが多いです。ただ、伊豆半島の海岸線は入り組んでいて、岬や湾の内側だと風の影になり影響が少ない場合もあります。
日本では基本的に冬は大陸から吹く北西風、夏は太平洋からの南風が吹くことが多くなります。伊豆半島でも季節による風向きの傾向があり、気象庁の風向きデータをまとめると次のようになります。
最多風向(16方位) | 東伊豆 | 西伊豆 |
---|---|---|
3月 | 北北東 | 東 |
4月 | 北北東 | 東 |
5月 | 北北東 | 東 |
6月 | 北北東 | 東南東 |
7月 | 南南西 | 東南東 |
8月 | 南南西 | 東 |
9月 | 北北東 | 東 |
10月 | 北北東 | 東 |
11月 | 北北東 | 東 |
12月 | 北北東 | 西 |
1月 | 北北東 | 西 |
2月 | 北北東 | 西 |
この最多風向きは風の強さは考慮されず、風向きの回数だけを集計したものなので、どの程度海のコンディションに影響を与えたかは明確にわかりません。しかし、冬は西伊豆が海況悪いことが多く、春や秋は東伊豆が悪くなる傾向が見て取れます。
ダイビングでは天気よりも波や潮の流れに影響を受けます。そして波は風の影響を受けやすいため、風向きに着目することが多いです。風向きの予報を知るには、Windyが役に立ちます。風や波の予報が観れて無料で使えるので、よければ試してみてください。
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秋がダイビングのベストシーズン
- 秋がダイビングに最適な季節
- 夏は猛暑過ぎて十分な注意が必要な季節
伊豆でのダイビングは、季節により気候や海の様子、ダイビングで出会える生き物の変化が大きくて、同じダイビングスポットでも飽きの来ないことが人気のひとつです。それぞれの季節に良さがある一方で、中でも秋がダイビングにベストシーズンといえます。
ダイビングのベストシーズンは、何を目的にするかで様々な定義ができます。
- 寒さを感じにくく快適
- 透明度が良く不安が少ない
このダイビングを単純に楽しめる状況をこの記事ではベストシーズンとしています。
秋は日中がまだ暖かく清々しい上に水温もまだ高いためダイビングに最高の季節です。水温は上昇も下落も穏やかで、陸上の季節より1か月ほど遅れて来るイメージです。私のダイビングログでも、7月はまだ水温が上がりきっていない一方、8月と9月が最も水温が高くなることが多いです。海流の動きや気候の影響もありますが、10月までは快適な水温を保っています。陸上は秋色が濃くなっても、秋晴れの日はまだ十分に暖かい時期です。
7月後半から8月の海水浴シーズンも確かに、水温も上昇し始めて陸上も暑くてダイビングに適した季節です。ただ、透明度が最高に良いとは言えませんし、真夏は熱射病など暑さ対策に注意が必要です。特にウエットスーツを着用すると保温力が高くなり、暑さ対策にはさらに気を配らなければいけません。実際にのぼせ気味のときに体温と水温の差が大きく、海に入ったら「心臓バクバクする」といったことも体験したことがあります。こまめに水分補給したり、シャワーを頻繁に浴びたりの対策が必要です。
また、ダイビングスポットや周辺状況も混雑する点もベストシーズンとしなかった理由の1つです。
ダイビングの始め方から脱初心者まで順を追って解説した記事はこちら
伊豆で時期を選ばずダイビングする防寒対策方法
夏以外に海に入っていて、寒くありませんか?
真冬は寒いですが、春や秋も対策すれば寒がらずに海に入ることできるんですよ!
- 3種類のウエットスーツで海水の冷たさに対応する
- 体が濡れないドライスーツで冬の季節を乗り切る
- 防寒対策のアイテムを使用する
水温の変化には、ダイビング用スーツを使い分けて対応します。ダイビングでイメージするのは、水着を着て体も濡れるウエットスーツが一般的です。他にも主に冬の寒さ対策用で洋服を着て着用するドライスーツというものもあります。
ウェットスーツは生地の厚みの違いで、3種類の代表的な組み合わせがあります。
- 5mm ワンピース
- 5mm ツーピース
- 6.5mm ツーピース
基本的に、素材厚みと構造の違いで保温力が変わります。素材は一般的な5mmと保温に優れた6.5mmがあり、構造は上下がつながったワンピースとジャケットとズボンに分かれたツーピースがあります。ツーピースのズボンはいわゆるオーバーオールと同じで上半身も覆う形です。
寒さ対策では大切な臓器がある上半身を保温することが大切なことが理由です。
- 5mmの1重の5mmワンピース(上半身5mm)
- 5mmの2重になる5mmツーピース(上半身10mm)
- 6.5mmの2重になる6.5mmツーピース(上半身13mm)
と上から順に保温力が高く冷たさに強くなります。
さらにウエットスーツの素材はジャージとスキンがあり、厚みや形状と組み合わせてダイビング後の陸上の寒さ対策を行います。陸上は濡れた状態より早く乾く方スキンの方が寒さを感じにくいです。
6.5mm ツーピースが「ロクハン」と呼ばれ、初夏から秋までダイビングできる最強ウエットスーツです。私は水温20℃がロクハンでダイビングできる1つの目安で、20℃を下回るとドライスーツでダイビングようになり季節の移り変わりを感じます。
ドライスーツはウェットスーツでは対応できない水温になる、冬の寒さ対策に有効です。ドライスーツも素材の違いでジャージ型とシェル型がありますが、多くの人はジャージ型を使用しています。
- 完全防水のスーツで、暖かい服装を着用してダイビングできる
- 着ぐるみの様になっていて、防水ファスナーを使って密閉されている
- 首元と手首はゴム製でピッタリフィットして水の侵入を防ぐ
ドライスーツの1番の特徴は、首から上と手首から先以外が濡れないということです。海に入るのに体が濡れないので不思議な感覚があります。体は濡れないため、ヒートテックに代表される暖かいインナーや登山用、キャンプ用の保温性の高い洋服を着込んで、暖かい服装のままダイビングができます。また、水温の冷たさに合わせて着込む量を変えられて、冬以外でも好んで使われている人もいます。ただ、ウエットスーツと違い吸気と排気という特別なスキルがある点だけ要注意です。
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5mmウェットスーツやロクハン、ドライスーツを水温に合わせて使い分けることが理想ですが、簡単に買い揃えられる金額ではないです。それに、ロクハンやドライスーツは使い方に少しクセがあるので、使いづらく感じる人もいます。
他に防寒対策を手軽に行うアイテムとして、フードベストとフードがあります。ダイビングライセンス講習でも学ぶように、ダイビング中の体温喪失の約70%は頭部から起こると言われています。そのため、フードを被ることで頭を保温することで全身が冷えにくくなります。
伊豆でも夏は5mmワンピースのウェットスーツでダイビングだけでダイビングができます。ただ、「ちょっと寒いけど平気」という感じで、決して完全に寒さを感じないわけではありません。海水浴やプールで長く水に入っていると徐々に寒くなったり、唇が紫っぽくなったりするのと同じ感覚です。フードベストを使えば頭部と上半身の保温力が向上し、本当の意味で快適にダイビングができるようになります。
まとめ:春夏秋冬それぞれに良さがある
- 気温も水温もまだ上がり始めたばかりで防寒対策が必須
- 春にごりにより水中の透明度が下がる。
- マクロ系の生物観察が多くなる。
- 春にごりは落ち着き始めるが長雨などで透明度が上がりにくい
- 卵や幼魚が増えて、ホンダワラなどが生い茂る
- 気温も夏日で暑い日が多く水温も高くなる
- 陸上は暑さ対策が必要になる
- 透明度は徐々に回復してくる
- ダイビングスポットが混みあう
- 気温も日中暖かい日が多く水温も高く維持されて快適な日が多い
- 透明度は冬に向けて徐々に良くなる傾向がある
- 季節来遊漁が増える
伊豆の海の春夏秋冬を、気温や水温のデータをもとに特徴を解説しました。
- 秋がダイビングに最適な季節
- 夏は猛暑過ぎて十分な注意が必要な季節
水温や気温、透明度、海辺の込み具合から総合的に考えて、強いて言えば秋がダイビングに最も適した季節です。
- 3種類のウエットスーツで海水の冷たさに対応する
- 体が濡れないドライスーツで冬の季節を乗り切る
- 防寒対策のアイテムを使用する
1年中ダイビングするための防寒対策は、ダイビング用スーツを使い分けることと頭部の保温をすることです。
季節ごとの特徴を知ることで、さらにダイビングへの興味は高まりましたでしょうか。実際に伊豆半島にあるダイビングスポットでは、季節を問わずダイビングが盛んに行われています。同じダイビングスポットでも季節による海の違いと日々のコンディションの違いが掛け合わさって、一期一会の感動が深まること間違いなしです。
伊豆の海で季節の移り変わりを感じるダイビングも楽しいですよ。
では、また。どこかの海で。
ライセンス取得講習も掲載中